聖書の人物

(11)ヨセフとその兄たち(創世記より)

『兄たちは、はるか遠くの方にヨセフの姿を認めると、まだ近づいて来ないうちに、ヨセフを殺してしまおうとたくらみ、相談した。「おい、向こうから例の夢見るお方がやって来る。さあ、今だ。あれを殺して、穴の一つに投げ込もう。後は、野獣に食われたと言えばよい。あれの夢がどうなるか、見てやろう。」』(創世記37・18〜20)

ヨセフはヤコブの愛妻ラケルが産んだ最初の子であった。ヤコブはすでにレアおよび侍女たちとの間に十人の男の子を持っていた。しかしラケルが産んだヨセフをヤコブは特別に愛したので、腹ちがいの兄たちは「彼を憎み、穏やかに彼に語ることができなかった」。無邪気なヨセフが「わたしが結んだ麦束のまわりに、兄さんたちの束が集まっておじぎをした。」とか「日と月と十一の星がわたしを拝んだ」といった夢の話をしたとき、兄たちは立腹し、ますます彼を憎んだ。

あるとき、ヨセフは父のお使いで、野で羊を飼っていた兄たちの所へ出かけて行く。「見よ、夢見る者きたる」。野にいた彼らにとってはヨセフをやっつける絶好の機会であった。よってたかってヨセフをいじめるが、殺すことだけはせず、エジプトに向かう隊商に奴隷として売ってしまった。しかし、後にこの「夢見る者」ヨセフがエジプトの宰相となり、ききんに喘ぐヤコブ一族を救い出すことになる。この聖書物語から、トーマス・マンの名作『ヨセフとその兄弟たち』が生まれた。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

この絵は、テリエンの聖書物語に描かれた、ヨセフが奴隷として、隊商に売られるところです。

【聖書の人物】過去のデータ
(1)アダム
(2)エバ
(3)カインとアベル
(4)ノア
(5)アブラハム
(6)サラ
(7)ロトの妻
(8)イサクとリベカ
(9)エサウとヤコブ
(10)ヤコブとラケル

熊本聖三一教会