聖書の人物

(13)モーセ(出エジプト記より)

『主は、モーセが道をそれて見に来るのをご覧になった。神は柴の間から声をかけられ、「モーセよ、モーセよ」と言われた。彼が「はい」と答えると、神が言われた。「ここに近づいてはならない。足から履物を脱ぎなさい。あなたの立っている場所は聖なる土地だから。」神は続けて言われた。「わたしはあなたの父の神である。アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。」』(出エジプト記3・4〜6)

エジプトの王宮で育てられたモーセは、「エジプトのあらゆる学問を教えこまれ、言葉とわざにも、力があった」(使徒行伝7・22)が、同胞の苦しみをよそに自分ひとりの安穏を楽しむことを欲せず、イスラエル人のために尽くすことを思い立ち、王宮生活から脱出する(出エジプト記2・11〜15)。しかし直ちに民族解放の勇士とはなりえず、約40年間、ミデアンの地で静かに羊の群れを飼っていた。

80歳のとき、彼は荒野の奥、神の山ホレブ(シナイ山)で燃える柴の中から呼びかける神の声を聞いた。自分のような者にいったい何ができましょうと、いたくためらった彼に、神は言われた、「わたしは必ずあなたと共にいる。これが、わたしのあなたをつかわしたしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたがたはこの山で神に仕えるであろう」と(出エジプト記3・11以下)。こうしてモーセは、自分の能力にたよるのではなく、何よりもまず聖なる神の召命に従う人間となることによって、イスラエル民族の偉大な指導者となることができた。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

この絵は、テリエンの聖書物語に描かれた、モーセが神の山ホレブで燃える柴の中から神の声を聞いているところです。

【聖書の人物】過去のデータ
(1)アダム
(2)エバ
(3)カインとアベル
(4)ノア
(5)アブラハム
(6)サラ
(7)ロトの妻
(8)イサクとリベカ
(9)エサウとヤコブ
(10)ヤコブとラケル
(11)ヨセフとその兄たち
(12)ファラオの娘

熊本聖三一教会