聖書の人物

(14)アロン(出エジプト記より)

『モーセが山からなかなか下りて来ないのを見て、民がアロンのもとに集まって来て、「さあ、我々に先立って進む神々を造ってください。エジプトの国から我々を導き上った人、あのモーセがどうなってしまったのか分からないからです」と言った。』(出エジプト記32・1)

アロンはモーセの兄で、イスラエルのエジプト脱出という困難な使命の遂行において終始モーセに同行し、協力した人である。「言葉にすぐれている」アロンは、訥弁(とつべん)であったモーセの代弁者として活躍する。しかし、モーセのように確固たる信仰によって神のみことばに従うというより、しばしば人の声に動かされ、彼らに妥協するところに、アロンの弱点があった。モーセがシナイ山にのぼって聖なる十戒やもろもろのいましめを神から授かっている間に、アロンは退屈した民の要求に応えて金の子牛を鋳てつくり、それを礼拝させるような愚を行ない、モーセの憤激を買った。

アロンはイスラエル初代の大祭司とされているが、この金の子牛の物語は、神の言への尊ぶきびしい預言者的人間と、人々のことをおもんばかる祭司的人間との、コントラストを示して妙である。今日、牧師、伝道者、信徒にも双方のタイプがある。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

この絵は、テリエンの聖書物語に描かれた、金の子牛のできたところです。

【聖書の人物】過去のデータ
(1)アダム
(2)エバ
(3)カインとアベル
(4)ノア
(5)アブラハム
(6)サラ
(7)ロトの妻
(8)イサクとリベカ
(9)エサウとヤコブ
(10)ヤコブとラケル
(11)ヨセフとその兄たち
(12)ファラオの娘
(13)モーセ

熊本聖三一教会