- 『ラピドドの妻、女預言者デボラが、士師としてイスラエルを裁くようになったのはそのころである。彼女は、エフライム山地のラマとベテルの間にあるデボラのなつめやしの木の下に座を定め、イスラエルの人々はその彼女に裁きを求めて上ることにしていた。』(士師記4・4〜5)
- イスラエルのカナン侵入後王国成立までの約150年間(前1200年以降)、士師と呼ばれる十二人の人びとが次々に起こって民を指導し、外的と戦ったが、デボラはその中のひとりの勇敢な女士師である。彼女は人妻であったが、軍将バラクをはげましてみずから出陣し、カナン王ヤビンの軍勢を打ち破った。敵の司令官シセラは逃れてカイン人ヘベルの妻ヤエルによって天幕にかくまわれるが、疲れて熟睡中、「ヤエルは天幕の釘を取り、槌を手にして彼のそばに忍び寄り、こめかみに釘を打ち込んだ。釘は地まで突き刺さった。疲れきって熟睡していた彼は、こうして死んだ。」(士師記4・21)
- デボラといい、このヤエルといい、古代イスラエルの主婦たちは男まさりのしたたか者である。なお、「奮い立て、奮い立て、デボラよ 奮い立て、奮い立て、ほめ歌をうたえ」とこの勝利をうたうデボラの歌(士師記5・1以下)は、旧約聖書に残された最古詩の一つとされ、有名。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)
- この絵は、テリエンの聖書物語に描かれた、ヤエルが司令官シセラに天幕の中でミルクを与えて、熟睡させようとしているところです。女性はデボラではありません。
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