- 『まことに、主なる神はその定められたことを僕なる預言者に示さずには何事もなさらない。獅子がほえる 誰が恐れずにいられよう。主なる神が語られる 誰が預言せずにいられようか。』(アモス書3・7〜8)
- 前八世紀の中ごろ、北王国に現われた預言者アモスは、もともと南王国ユダで羊を飼い、いちじく桑を栽培する一介の田舎者であったが、主なる神の召命を受けて立ち上がり、当時の腐敗した都市文明とその根底にある道徳的、宗教的堕落に対し、激しい言葉で神の審判を預言した。彼の預言の特徴は、社会的、政治的不正の仮借なき批判であり、同時に彼は、社会的正義の実行を伴わない形式的、儀礼的宗教を徹底的に攻撃した。
- 彼の預言と説教は、獅子がほえるようにたくましく、火のように熱く激しい。主はこう言われる。「ユダの三つの罪、四つの罪のゆえに、わたしは決して赦さない。彼らが主の教えを拒み、その掟を守らず、先祖も後を追った偽りの神によって、惑わされたからだ。わたしはユダに火を放つ。火はエルサレムの城郭をなめ尽くす。」
- 主はこう言われる、「イスラエルの三つの罪、四つの罪のゆえに、わたしは決して赦さない。彼らが正しい者を金で、貧しい者を靴一足の値で売ったからだ。彼らは弱い者の頭を地の塵で踏みつけ、悩む者の道を曲げている。父も子も同じ女のもとに通い、わたしの聖なる名を汚している。祭壇のあるところではどこでも、その傍らに質にとった衣を広げ、材料として取り立てたぶどう酒を、神殿の中で飲んでいる。」(アモス書2・4〜8)
- 見よ、その日が来ればと、主なる神は言われる。「わたしは大地に飢えを送る。それはパンに飢えることでもなく、水に渇くことでもなく、主の言葉を聞くことのできぬ飢えと渇きだ。人々は海から海へと巡り、北から東へとよろめき歩いて、主の言葉を探し求めるが、見いだすことはできない。その日には、美しいおとめも力強い者も、渇きのために気を失う。」(同8・11〜13)(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)
- この絵は、12世紀の聖書の飾り文字に描かれたアモスの姿です。(ジャック・ミュッセ著「旧約聖書ものがたり」より)
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