- 『イエスはエリコに入り、町を通っておられた。そこにザアカイという人がいた。この人は徴税人の頭で、金持ちであった。』(ルカ19・1〜2)
- エリコの町の徴税人のかしらザアカイは、不正な取立てをして私腹をこやし、人々から忌みきらわれていた金持ちであった。だが、イエスに対する軽い好奇心から、町の街路樹にのぼってイエスを見物していた彼は、その下を通りかかるイエスから突然呼びかけられ、思いもかけず彼を客として家に迎えることになった。人々は徴税人の家に泊まろうとするイエスを見て非難がましいことを言うが、ザアカイは大いに感謝し、喜んでイエスに言う「主よ、わたしは財産の半分を貧しい人々に施します。また、だれかから何かだまし取っていたら、それを四倍にして返します」と。(19・8)
- きまじめな態度でイエスに道を求めた富める青年は、イエスのきびしい言葉につまずいて去った。しかし興味半分にイエスを眺めていた徴税人ザアカイは、イエスのそばに呼び寄せられてそれまでの生活を一新することになった。こういう単純率直で行動的な人間にイエスは言う、「今日、救いがこの家を訪れた。この人もアブラハムの子なのだから、人の子(イエス)は、失われたものを捜して救うために来たのである」(19・10)。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)
- この絵は、テリエンの聖書物語に出てくる挿絵です。
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