聖書の人物

(68)

老教師ニコデモ(ヨハネ福音書より)

『さて、ファリサイ派に属する、ニコデモという人がいた。ユダヤ人たちの議員であった。ある夜、イエスのもとに来て言った。「ラビ、わたしどもは、あなたが神のもとから来られた教師であることを知っています。神が共におられるのでなければ、あなたのなさるようなしるしを、だれも行うことはできないからです。」イエスは答えて言われた。「はっきり言っておく。人は、新たに生まれなければ、神の国を見ることはできない。」ニコデモは言った。「年をとった者が、どうして生まれることができましょう。もう一度母親の胎内に入って生まれることができるでしょうか。」』(ヨハネ3・1〜4)

ニコデモというユダヤ人の老教師は、ヨハネ福音書だけが伝えている人物である。彼はユダヤ人の指導者として最高法院のメンバーのひとりであったと思われるが、ファリサイ人としてはかなり自由な考え方をする人であった。つまり自分たちの主張に固執するだけではなく、新しい教えや律法解釈について興味を抱いていた。イエスに対する偏見がファリサイ人たちの間で強まったとき、彼はイエスを弁護すらしている(ヨハネ7・50以下)

しかし、夜ひそかにイエスをたずねて話し合った折には、イエスの説くところはニコデモにとって、まるで夢のような話であった。イエスは神の国の真理を知るには、人間の新生が必要であると言う。ニコデモには、この信仰の中枢にかかわる一語がまったく理解できなかったのである。彼は結局、イエスの弟子となることはできなかったが、イエスの死体をていねいに片づける役目だけは果たした(19・38以下)。社会的地位や教養ある人々に見られる、親イエス派のさきがけのような人であった。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

この絵は、女子パウロ会の「聖書と歴史」に出てくる挿絵です。

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