聖書の人物

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 百人隊長コルネリオ(使徒言行録より)

『さて、カイサリアにコルネリウスという人がいた。「イタリア隊」と呼ばれる部隊の百人隊長で、信仰心あつく、一家そろって神を畏れ、民に多くの施しをし、絶えず神に祈っていた。』(使徒言10・1〜2)

ローマからきてカイサリアに駐屯していた軍隊の百人隊長に、コルネリオという人がいた。彼はユダヤ教に同宗していたわけではないが、ユダヤ教の会堂の人々とは親しい関係にあり、いわゆる“神を敬う人々”のひとりであった。使徒言行録の記録によると、このような人々 ――― つまり特定の宗教の信者ではないが、心の奥底で神を敬愛し、隣り人に対して愛の行為をする人々 ―― の中から、数多くのすぐれた人物や特に上流階級の婦人たちが、初代教会に加わったらしい。

百人隊長コルネリオは、軍人としては高位高官の人ではなかったが、その穏かな人柄と慈善の行為によって、ユダヤ人から好感を持たれていた。彼はペトロの導きによって洗礼を受け、ローマ人キリスト者の初穂となった。またペトロはペトロで、彼の劇的な回心の場面に接することにより、「神の救いはユダヤ人と異邦人とを差別せず万人にひとしく及ぶ」ことの確証を得ることができた(使徒言行録15・6以下参照)。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

この絵は、女子パウロ会の「聖書と歴史」に出てくる挿絵です。
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