聖書の人物

(89)

 ルディア(使徒言行録より)

『わたしたちはトロアスから船出してサモトラケ島に直航し、翌日ネアポリスの港に着き、そこから、マケドニア州第一区の都市で、ローマの植民都市であるフィリピに行った。そして、この町に数日間滞在した。安息日に町の門を出て、祈りの場所があると思われる川岸に行った。そして、わたしたちもそこに座って、集まっていた婦人たちに話をした。ティアティラ市出身の紫布を商う人で、神をあがめるリディアという婦人も話を聞いていたが、主が彼女の心を開かれたので、彼女はパウロの話を注意深く聞いた。』(使徒言16・11〜14)

ルディアは・パウロのヨーロッバ伝道において、最初にキリスト者となった婦人である。彼女は小アジアの西端ルディア地方の町テアテラの出身で、ティアティラが高価な紫布の産地であったのでそれを取り寄せて売ることで、商人として成功し、裕福な生活をしていた。

彼女は、ユダヤ教の改宗者であったらしく、「神を敬う」宗教的た婦人であったが、パウロが川のほとりの小さな集まりでイエスの話をしたとき、ルディアの心はまったく新しい光に照らされる思いがした。こうして彼女は、家族とともにその場で洗礼を受け、主を信じる者となった。またパウロの一行を自分の家に招いて客とし、丁重に遇した。

ルディアたちを中心として出来たフィリピの教会は、その後長くパウロに対する親愛の情を保ち、彼に必要な経済的援助を送ったりしているが、パウロが晩年、獄中で書いたフィリピ人への手紙がそれを証明している。(フィリピ1・3以下、2・12、15〜16、4・1、15、18)(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

写真は、フィリピ市内の彼らが祈りの場所としていた所にある記念の洗礼堂と前を流れるルディア川です。
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