(16)ひとつの買い物かご

お母さんの買い物かごや、窓やアコーディオンについて考えてみましょう。あなたの洗礼の時の第二の誓いは、『キリスト教の全ての信仰箇条を信ずること』でした。箇条というのは、ジグソーパズルのピースか、くさりの輪みたいなものです。キリスト教の信仰というのは、教会というクリスチャンの共同体(39)が、どんなところでも、どんな時代にも信じて来たし、そして信じているものです。信じる力を『信仰』と言います。すべての良いものが神様から与えられるように、この『信仰』も神様からの贈り物です。あなたは洗礼の時、信じる力を与えられました。お祈りすればするほど、豊かに信仰を与えられます。思い出してみてください。洗礼の時、あなたは全てのキリスト教の信仰箇条を約束したわけでもないし、理解することを要求されたわけでもありません。いつの日にか、私たちは成長して天国で全てを理解することになるでしょう。

お母さんが、買い物にでかけた時のことを考えてください。お肉を買って、チーズとマーガリンを買って、パンとミルクを買って、それらを買い物かごに入れて帰ります。お母さんと同じように、教会は、信経の中に信仰箇条を集めて私たちの信仰を助けます。『信経』のことをラテン語では『クレド』と言いますが、これは『私は信じます』という意味です。信経には、違った大きさの三つのものがあります。アタナシオ信経が一番大きなものですが、別に暗記しなくてもかまいません。祈祷書の付録に載っています。ニケヤ信経は聖餐式で唱えるもので、千六百年以上前にニケヤという所で開かれた大きな教会会議でつくられました。使徒信経は最も短いもので、教会問答や朝夕の礼拝などにあります。使徒たちがそれを書いたわけではありませんが、教会のできた頃に使徒たちが教えていたものです。

これら三つの信経は同じ一つの信仰について語っています。それは、伸びたり縮んだりするアコーディオンが、いつも同じ音を奏でるようなものです。あるいは、この絵のようなものでしょうか。三つの窓から同じ景色が見えるでしょう。三つの信経はたった一つの信仰を表しているのです。次からは使徒信経にそって学んでゆきます。

(H.A.ウィルソン著「チョークと子供たち」より)

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