この本を使って、
カテキズムのお勉強

はじめに(翻訳・編集者前書き)

私たちは礼拝に出席したり、教会の行事に参加することを通して、『神様が好きだ』と思っているでしょう。しかし、いざその信仰を他の人に伝えようとすると、いろいろと苦労があります。自分の感情を口に出して伝えることは、容易なことではありません。私たちの顔が各々異なっているように、心に描く神様や信仰のとらえ方が人によって様々だからです。もちろん「教会はいい所だから一緒に行きましょう」という誘いはできるでしょうが、キリスト教に対する疑問に答えるには、自分の感情だけでなく、みんなが共通に理解できる言葉 ―― 理性で信仰を言い表す必要があります。

祈祷書の中にある教会問答(以前は公会問答と言っていた)は、理性によって神様を知る方法として、聖公会の中で伝統的に継承されてきたものです。洗礼や堅信式を受ける前に、聖職者たちは、この信仰の概略を示す問答に各々肉付けして、志願者を指導することになっています。この本で紹介する内容も、その肉付けの一つです。

教会問答のことを英語では、Catechism(カテキズム)と言います。この本の元になった『ハッガーストンカテキズム』は、ロンドンの下町ハッガーストンの聖オーガスチン教会で1925年から1954年の逝去まで働いた英国聖公会の司祭、H.A.ウィルソン神父が、少年少女のために1942年から1945年まで、順次第6巻まで発行されたものです。当時の英国祈祷書のカテキズムは、1959年版日本聖公会祈祷書のものと同じ25の問答でした。(巻末に1959年版日本聖公会祈祷書の公会問答を参考資料として付記しておきました。)神父はこれを毎週日曜日の午後、全部で168回、約4年かけて、毎回面白い絵を黒板に描いて子供たちに教えました。この本を『チョークと子供たち』という名称にしたのは、それが根拠です。この中には、当時の教会問答には言及されていない、『小さなサクラメント(聖奠)』(個人懺悔、堅信、結婚、聖職按手、塗油)についての解説も含まれています。1990年版日本聖公会祈祷書には、教会問答にその言葉が登場していますから、現代の私たちにも役に立っ解説だと思います。また、各節には、最初ウィルソン神父が黒板に描いていた挿絵があったり、説明文に括弧付きで聖書の箇所や関連のある節が示されているので、内容が把握しやすくなっています。しかし、ちょうど第二次世界大戦の時期と重なり、たとえに使われているものが、第4節などのように、現代の視点から見ると適切かどうか、疑問に思うものもあります。しかし、挿絵と関係が深いものは、あまり省略や置き換えはしていません。

元の本は、1O〜14歳の子供を指導する人たちに向けて書かれていて、直接子供が読んだわけではないようです。おそらく、これを指導者がわかりやすく子供たちに説明したのでしょう。その上50年前の英国と現代の日本では状況がだいぶ違うので、翻訳や簡潔な文章に編集する内に、だんだん大人向けの言葉になりました。このまま読むのなら、対象は中高生以上ということになると思います。

また、挿絵には英語の言葉が含まれているものが多くあります。英語を消して日本語に書き換えようか、とも考えましたが、絵と言葉を組合わせて表現している面白さを失いたくなかったので、そのまま載せました。しかし、「日本語の意味も付けた方がいい」という忠告を受けましたので、煩雑に見えるかもしれませんが、付けておきました。英語の単語にも日本語同様に複数の意味があり、他の訳例も考えられますが、私なりに選んで訳しています。

長い前置きになりました。50年前に英国聖公会の司祭が、ユーモアを交えて語ったカテキズムの解説と面白い絵をどうぞご覧ください。きっと新しい発見があると思います。

(H.A.ウィルソン著「チョークと子供たち」より)

【楽しい問答会】 毎週追加しています
第1章 洗礼
(1)男の子と女の子とテント
(2)良心と自由意志
(3)教籍簿
(4)教名
(5)教父母
(6)メンバー
(7)ただひとりの赤ちゃん
(8)これらすべてと天国も
(9)三つの約束
(10)悪魔
(11)この世
(12)自分自身
(13)キリスト教の信仰箇条を信じること
(14)従い守ること
(15)安全第一

第2章 信経
(16)ひとつの買い物かご
(17)私という船
(18)すべてのものは輝き美しい
(19)歌の練習
(20)家に帰る道を示してください
(21)ベストセラー
(22)私は家
(23)いつでも
(24)トムの親指
(25)この道に入りなさい
(26)おじぎ
(27)伝令の天使の声を聞け
(28)アンジェラスの鐘
(29)十字架のしるし
(30)回復
(31)三時以後
(32)潜入活動
(33)信仰の中心
(34)息子の復活
(35)メインストリート
(36)凱旋式
(37)備えよ、つねに
(38)暗闇の中の光
(39)建物の教会と建物ではない教会
(40)教会の条件
(41)戦う教会
(42)病院
(43)勝利の教会
(44)三階建ての教会
(45)ただひとつの道
(46)毛虫と蝶
(47)終わりのない喜び

第3章 十戒
(48)警官の交通整理
(49)道を見て歩くこと
(50)私たちの町の二つの看板
(51)優先すべきこと
(52)太陽のあたる所
(53)ちょっとしたパズル
(54)愛の表現
(55)礼拝は神様に献げること
(56)礼拝への思い
(57)幸せになりたい
(58)安全マッチ
(59)申し分のない言葉
(60)安息日の旅
(61)日曜日は楽しみましょう
(62)六日間は労働の日
(63)借用証書
(64)両親を敬いなさい
(65)庶民
(66)牧師
(67)先生へのプレゼント
(68)12月28日
(69)馬力
(70)手仕事
(71)用語の不正確さ
(72)星を求める願望のとりこ
(73)十進法

第4章 主の祈り
(74)寝る前にお祈りしよう
(75)恵みのしるし
(76)ふたつの恵み
(77)飛行機
(78)愛する人への手紙
(79)神様は眠りを与える
(80)手をあわせましょう
(81)静かに!
(82)黄色い信号
(83)潜水服
(84)目覚まし時計
(85)お手本
(86)すべての人の父
(87)航空便
(88)女房の尻に敷かれたハリー
(89)100パーセント
(90)ねずみと人間
(91)指示する者たち
(92)ハーケンクロイツ(鉤十字)
(93)天使たちの足のしるし
(94)配給手帳
(95)生命の糧
(96)絵の上のシミ
(97)神様だけが赦しを与える
(98)阻塞(そさい)気球
(99)試み(テスト)
(100)だれが恐れていますか?
(101)見張り
(102)後光
(103)完全に良好
(104)特別な意味
(105)この世界以上のものを夢見て

第5章 小さなサクラメント
(106)あなたへの恵み
(107)安全自転車
(108)目に見えるしるし
(109)恵みを受けるための方法
(110)虹の端はどこにあるの?
(111)サセックスの冒険
(112)悔い改め
(113)事柄の中心
(114)勲章はつけてもらえない
(115)やかんを置きなさい
(116)公衆電話
(117)基本方針
(118)初めから
(119)手遅れにならない内に
(120)筋肉のキリスト教
(121)道理をわきまえる年令
(122)支えられた壁
(123)雄鶏
(124)はしご
(125)七つの賜物
(126)忠実なる僕
(127)天国の門
(128)私の小さな灰色の家
(129)生命の継続
(130)子供の教育
(131)パートナーシップ
(132)新しい指輪
(133)第二の仲間
(134)これを見てください
(135)三重のひもは簡単に切れない
(136)玉と十字架
(137)聖職をつくる
(138)橋の向こう
(139)夜間ベル
(140)混乱状態への油
(141)また逢う日まで
(142)祈り

第6章 大きなサクラメント
(143)洗礼と聖餐
(144)水
(145)手紙
(146)追い立て命令
(147)栄養食物
(148)地図作成
(149)二階の広間
(150)テーブルの十三人
(151)キリストの体
(152)良い女王ベスT世
(153)一度、そしてすべてのために
(154)神の小羊
(155)行為は言葉より大いに語る
(156)至聖所の白いローソクのように
(157)荷車の上の世界
(158)聖書と祈祷書
(159)Cm(センチ)の問題
(160)協力
(161)電話線
(162)白い灯
(163)独立
(164)二つの部分
(165)つながった輪
(166)洗浄
(167)おいしいお茶
(168)長い目的
(参考資料)公会問答
おわりに


熊本聖三一教会