(135)三重のひもは簡単に切れない

ある午後、主と弟子たちは、静かさを求めて、ガリラヤ湖を舟で横断して対岸の寂しい所へ行かれました。しかし、沿岸の町や村から群衆が彼らのあとを追ってきました。約五千人の男性と数えきれない数の女性や子供です。日が沈もうとしていますので、主は奇跡によって五つのパンと二匹の魚で、すべての人に十分な食物を与えられました。この時、主は“パンを弟子たちに与え、そして弟子たちは群衆に与えました”(マタイ14章13〜21節)。

これが、神様が人間を彼の代理人として使われる方法です。代理人は他の人々に働きかけます。神様は、聖職按手のサクラメントを通してある人たちを任命して、その仕事を行わせます。神様は、弟子たちがパンを取って神様の恵みをその群衆に持っていったように、聖職者の生涯を神様の代理人として用いられるのです。これは、教会の三重の奉仕職と言われています。〔三重〕 ―― なぜなら三つの職位があるからです。主教、司祭、執事です。〔奉仕職〕 ―― なぜなら三つはすべて神の民の僕だからです。彼らには、お医者さん同様に、個人的な生活とか八時間労働とかがありません。どんな人に対してでも、彼らを必要とする人には“奉仕”の用意をしています。彼らの仕事は際限がありません。彼らの仕事は使徒たちから継承しているからです。使徒たちは最初の主教(40)です。そして、地上の教会は、聖職者なしには存在しません。彼らはサクラメントの全世界的供給者です。彼らはどこでも神様の恵みを必要としている人々に奉仕する僕だからです。そして、彼らはすべてA級の尊敬をされる者です。しかし、彼らはこの最も高く、おそらく最もきびしく、しばしば最も幸福な仕事を自分で選ぶのではありません。それは神様が選ばれることです(ヨハネ20章21〜23、15章16節)。もちろん彼らは“あなたの主教、司祭、執事”です。しかし、彼らには神様が第一です。彼らは時々パースン(牧師・Parson)と呼ばれます。パースンは、人格(Person)という意味で、人々から最大の敬意が払われます。それは、イエス・キリストの人格を代表して人々に示すからです。

(H.A.ウィルソン著「チョークと子供たち」より)

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