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おわりに
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- 私がウィルソン神父のカテキズムに初めて出会ったのは、中学1年の時です。ハッガーストンカテキズムの第1巻と第2巻(本書では第1章と第2章)を小坂井澄氏が翻訳・編集し、『たのしい問答会』という名称にして、1956年に日本聖公会東京教区から新書版で発行しておられます。その本を私は堅信式前に福山の岡上司祭から渡されて読み、描かれた絵が印象に残っていました。3年前、福山に帰った時、偶然その時の『たのしい問答会』が同司祭と話題になり、改めて読んでみて内容の面白さを再発見し、是非第6巻まで読みたくなりました。そこで、イギリスに留学中の友人から原著を探して送ってもらったのです。ところが早速読んでみると、翻訳された小坂井澄氏のこ苦労がよくわかりました。あまりにハッガーストンに密着した著書で、英国の風土や英語の面白さのため、日本語には訳しにくいのです。もちろんそれには私の英語力や国語力のなさもあるのですが。ちょうど、日本語の洒落を一生懸命外国人に説明するようなもどかしさでした。しかし昨年の大斎中、一つの修行と考えて訳してみました。その後、多くの方に助言をいただきながら内容を見直し、その間に、昨秋故人となられた岡上司祭にも原稿を読んでいただくことができました。そして、同司祭から続編の発行を期待されていたこともあり、まだ不十分な点がいろいろあるかも知れませんが、いつまでも自分で抱えていたのでは役に立たないと思い、翻訳を始めてから1年過ぎたのを機に製本することにしました。
原著は、あくまでも50年前の英国という状況で書かれており、中に出てくる「良心」や「煉獄」などの言葉は、現代神学等の立場からは別の評価があります。また、現在の日本では、少年少女のためにもっと強調するべき問題があるでしょう。やはり、本当は現在の教会問答に対応した解説を、私たちの手で作るべきだと思います。
しかし、私は神学校を卒業後10年間、洗礼堅信準備や説教のために、わかりやすいキリスト教の解説を求めていましたが、そんな折、この本に出会い、ウィルソン神父のあつい信仰とイギリス人独特のユーモアに触れて、牧師としてだけでなく、一信仰者として、励まされたような気持ちです。これが皆様の信仰生活にもお役に立てたら幸いです。
この本についてのご感想やご意見があれば、お便りください。
1994年2月11日日本聖公会組織成立記念日
司祭フランシス小林史明
- (H.A.ウィルソン著「チョークと子供たち」より)
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