聖書の人物

(27)ソロモン(列王記上より)

『神はこう言われた。「あなたは自分のために長寿を求めず、富を求めず、また敵の命も求めることなく、訴えを正しく聞き分ける知恵を求めた。見よ、わたしはあなたの言葉に従って、今あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える。あなたの先にも後にもあなたに並ぶ者はない。わたしはまた、あなたの求めなかったもの、富と栄光も与える。生涯にわたってあなたと肩を並べうる王は一人もいない。」』(列王記上3・11〜13)

ソロモンはダビデの愛妻バト・シェバの子で、王の命によってイスラエル三代目の王となった(前961年)。波乱に富んだダビデの生涯とは異なり、ソロモンはその名(“平和な”という意味)にふさわしく、民族を統一し、経済を発展させ、近隣諸国との和合をはかり、世に言う“ソロモンの栄華”の時代を築いた。エルサレムに最初の神殿を建てたのも彼である。だが晩年には王国は衰退して行き、彼の死後、国は南北に分裂してしまった。

ソロモンがきわめて聡明であったことを示す有名な話として、次のようなものが聖書にある。―――ふたりの女がひとりの赤ん坊をめぐって訴えてきた。双方とも、その子が自分の子であると言って譲らない。そこで王は言った、「刀を持ってきて、その赤ん坊を二つに割き、半分ずつを公平に女たちに与えよ」。すると一方の女がたちまち悲鳴を上げて言った、「生きている子を彼女に与えてください。決して殺さないでください」。王は言った、「この女にその子を与えよ。殺すな。彼女こそこの子の母だ」と(列王記上3・16以下)(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

この絵は、テリエンの聖書物語に描かれた、その時のふたりの女の訴えについて、裁きを行っているソロモン王です。

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(6)サラ
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(9)エサウとヤコブ
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